自主生産品・プロジェクト
栽培カレンダー
季節の移り変わりに応じた私達の栽培作業をご紹介します。
まずは、「どんぐり」拾いから!!(9~11月)
秋は、「ドングリ」拾いで大忙し。進和学園の周辺には、湘南平や高麗山の自然林、大磯城山公園や平塚市総合公園等の公園、愛宕神社や延命寺等の「鎮守の森」をはじめ幸いにも「どんぐり」拾いのスポットが残っています。学園スタッフで「どんぐりマップ」も作成しています。神奈川大学湘南平塚キャンパス、東海大学湘南キャンパスでも、ご了解を得て大学構内で沢山の「どんぐり」を拾わせて頂いています。「誰が一番拾えたかな?」とお互いの袋を見せ合ったり、自慢しながらのティータイムがこれまた格別です!
■「どんぐり」を蒔く準備(写真右)
採集した「どんぐり」は、2~3日水に浸けて選別します。虫に食われているものは浮いてしまうので、沈んだものを選別して蒔くようにすれば発芽率が高まります。写真(右上)は、数が少なくなってしまった貴重な「アカガシ」です。平塚周辺で結実した「アカガシ」はなかなか発見できず、横浜市港北区の杉山神社と師岡熊野神社で採集しています。
■紅葉/ロマンチックな癒しの空間(写真左)
「どんぐりハウス」の中も今はもう秋・・・。主役の常緑広葉樹と共に栽培している落葉樹もそろそろ冬支度です。ハウス内でもちゃんと紅葉するんですよ。イロハモミジの赤やクヌギの黄色が常緑樹の緑色に映えて実に美しい。「枯葉よ~枯葉よ~」などと思わずシャンソンの一節を口ずさみたくなる「どんぐりハウス」は、ロマンチックな「癒し」の空間でもあります。 (写真:2007年11月末の紅葉の様子)
「タブノキ」の実生採集(10~11月)
平塚周辺の潜在自然植生の代表的な常緑広葉樹にタブノキがあります。タブノキは、ドングリではなく1CM程の種子が7~8月頃に結実します。勿論、種子も採集していますが、発芽した実生を採集して育てることも可能です。写真は、2007年秋に、市の保存樹である柳町西公園の「タブノキ」の実生を、許可を頂戴し採集した時のものです。道を挟んだ原田様のお宅の庭にも沢山の実生を発見、原田様のご厚意によりこちらも採集させて頂きました。それにしても、この「タブノキ」の見事なこと!隆々とした枝振りで迫力満点、圧倒される思いでした。色々な木をご覧になっている「まじぇる会」の皆様も大いに感心しておられました。昔、平塚には「タブノキ」が軒並み茂っていたそうです。この巨木の子孫を何とか残したいと思います。
冬に備えて栄養補給!(11~12月)
この時期にポット苗に肥料を与えて栄養補給をします。冬を越す準備ともいえます。写真は、中木の常緑広葉樹の代表「ネズミモチ」の苗ですが、ポット内の小さな白い粒がお分かり頂けるでしょうか?1年生苗については、ポット苗一つずつに緩行性の肥料を一粒ずつ与えます。2年生以上の苗には、3~4粒を与えます。しゃがんでの作業は結構きついんですよ。へたな筋トレよりも効果がありそうです。時々立ち上がって背筋を伸ばしながら、皆で力を合わせて作業を行います。この日の担当は「しんわやえくぼ」の皆さんでした。
色々な実の採集・皮むき(11~1月)
「どんぐり」以外にも、広葉樹の種や実を採集して育苗箱に蒔いています。写真は真っ赤に色付いた「アオキ」の実です。進和学園の周辺の自然林にはこの低木広葉樹の代表種である「アオキ」がたくさん見られます。他にも、「ネズミモチ」「ヒサカキ」「イヌツゲ」「シャリンバイ」「ムラサキシキブ」「マンリョウ」「ナンテン」等の種や実も採集しています。そのまま蒔くより、皮を剥いて蒔く方が発芽率が著しく高まるそうです。中には臭い匂いがする種類もあって、ちょっとしんどい作業ですが粘り強く作業を進めています。
育苗箱がたくさんできました!(12~1月)
年末ともなると「どんぐりハウス」の北側スペースは、「育苗箱」がズラリと並びます。採集した「どんぐり」や色々な木の実20数種類を「育苗箱」に蒔いて、春の発芽を待つことになります。木の名前と採集場所、採集日をプレートに記しておきます。乾燥を防ぐために、マルチングといって稲ワラや枯葉で表面を覆います。「クロガネモチ」のように発芽が翌々年になるものもあるそうですが、殆んどは翌年春に芽を出すはず!待ち遠しい気持ちで一杯になります。
がんばれ!「どんぐり」君!!(2~5月)
■早く芽を出せ「どんぐり」君!
春になると育苗箱には雑草も生えて来ます。「どんぐり」の芽と間違えないように雑草を取り除きます。「どんぐり」は乾燥に弱いので、土の上にワラや枯葉のマルチングを敷きますが、乾いた頃を見計らって「水遣り」を忘れないことが大切!冬を越して春が近付いてくると「早く芽を出せ!」と語り掛けながらお世話をする毎日です。
■春が来た!「どんぐり」君一斉に発芽!
「どんぐり」君は生きていた!温かい春の到来と共に一斉に芽を出す様子は正に感激の一言。「どんぐり」の芽がどういうものか殆どの人は知らないと思います。種類によって葉の形や色は若干異なりますが、どれもそれはそれは可愛い!最初に発芽するのは落葉樹です。クヌギは3月始めから芽吹き成長も早いのに驚きます。常緑樹は落葉樹に比べ成長は遅いのですが寿命が長いそうです。自然とは本当に良く出来ていますね。4~5月にかけて、宮脇方式の主役「常緑広葉樹」の「ドングリ」(アラカシ、シラカシ、スダジイ、アカガシ等)が次々に発芽します。
芽吹きの春!(3~5月)
春の陽光が眩しくなる頃、「どんぐりハウス」にも芽吹きのシーズンが到来します。クヌギ、コナラ、イロハモミジ等の落葉樹は、3月初旬から早々に若い芽を付けます。常緑樹は少し遅れて発芽します。柳町西公園の御神木「タブノキ」の実生から育てている苗もご覧の通り、鮮やかな若芽を付けました。まるで紅い花が咲いたようです。前年秋に実を蒔いた育苗箱でも大きな変化が・・!ネズミモチも発芽し、可愛い艶のある双葉で太陽の光を精一杯受け止めています。「生きることの素晴らしさ」「命の尊さ」が伝わって来ます。皆の笑顔もウキウキの春爛漫です!!
楽しい「ポット苗」づくり(5~7月)
育苗箱で発芽した苗を5~7月にポットに移します。ちょっとコツがいるのですが、根を乾かしたり傷付けたりしないように注意しながら、苗がポットの真ん中に来るようにして周囲に土を入れます。2007年6月30日、「まじぇる会」の皆さんにご指導を頂きながら、皆でワイワイガヤガヤと力を合わせ、半日で5,350個のポット苗を作りました。これが、これまでの最多記録となっています。ハウスの中が、並んだポット苗で緑のじゅうたんになる様子を眺めるのは、大変心地良く達成感に満たされます。
■進友クラブの皆様(写真左)
進和学園利用者ご家族によるボランティアの会:進友クラブの皆様も、この時期は「ポット苗」づくりに精を出して頂いています。写真は、2008年5月13日の様子。コナラのポット苗を約1,400個作りました。季節外れの肌寒い日でしたが、「どんぐりハウス」は快適空間、夢中で作業している内に額にはほんのりと汗が・・・。出来上がった苗がズラリと並ぶ様子に、皆さんも満面の笑顔、とても楽しく充実した一時でした。
■「進和職業センター」でのポット苗づくり(写真右)
大量のポット苗づくりの効率アップのため、2008年度から、苗・土・ポット等を「進和職業センター」へ運んで、「どんぐりハウス」と並行して作業を行なうようにしました。6月も末ともなるとハウスの中は、かなり暑くなります。同センターには、屋根付きの広いプラットホームもあるので、長時間の快適な作業が可能です。
(写真:2008年6月28日、アラカシのポット苗を1,600個作成)
(写真:2008年6月28日、アラカシのポット苗を1,600個作成)
タブノキの実を収集(7月)
常緑高木の代表種「タブノキ」は、ドングリではなく、1cm程度の実が春から夏にかけて結実し7月頃に落ち始めます。実が付く枝先は美しい紅色の柄を形成するので、実が付いているか否かは容易に判断できます。最初は緑色の実もやがて黒色に熟する頃には、鳥達のご馳走にもなります。私達は、平塚市の柳町西公園の保存樹をはじめ何本かの母樹を見廻り、タイミングを逸しないようにタブノキの実を拾っています。収集した実は、水に漬けてふやかし表皮を剥いてからトロ箱に撒きます。発芽までは比較的早く、9~10月には可愛い芽が次々に出てきます。秋に収集するドングリは、5月頃からポットに移しますが、タブノキのポット苗づくりは秋となります。
成長の夏「もっともっと大きくな~れ!」(7~8月)
夏は、苗が最も成長するシーズン。太陽光を浴びて光合成が活発となります。若葉が次々に出て来る様子は自然のエネルギー、「命」の尊さ・たくましさを感じさせてくれます。栽培のポイントは「水遣り」。少なくても多すぎてもダメ。木は「根」で勝負します。「水遣り」の良否が「根」の成長を左右します。水はけの良い土を使用しているので、真夏は朝夕2回は「水遣り」が必要です。ハウスでは、井戸水が利用できるので水道代を気にしなくて済むのが何より。温暖化のせいでしょうか?最近は、猛暑が続き大変です。35度という日もあり、「乾燥」や「枯れ」が見られることもあります。春には、30%遮光幕を設置していますが、夏場は50%遮光幕を部分的に追加します。ハウス・オーナーの諸星孝恵さんと妹さんの中野弘美さんに、毎日「水遣り」をサポートして頂いて夏場を乗り切っています。
栽培カレンダー「番外編」(11月)~美味しい「どんぐりクッキー」づくり~
「サンメッセしんわ」及び(株)研進では「いのちの森づくり」プロジェクトの一環として、しいの実(スダジイ)から「どんぐりクッキー」を作っています。「どんぐり」の皮を剥いて粉にする作業が大変で採算性は「?」ですが、これも一つの挑戦です。「どんぐり」の粒々感を敢えて残し素朴な味わいに仕上げていますが、なかなか好評なんですよ!季節限定で数にも限りがあるため、多くの皆様にご賞味頂けないのが残念ですが、11月に進和学園を訪れたら運試しにお声を掛けてみて下さい。